県内宿泊、旅行予約状況に濃淡北陸新幹線県内開業まで１カ月：日刊県民福井Web - 中日新聞

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北陸新幹線福井駅を出発、福井市中心部のビル群を抜けて敦賀に向かうＷ７系車両＝１５日午前１０時４分、福井市の八幡山から写す（福田正美撮影）

　北陸新幹線金沢－敦賀間開業（３月１６日）まで、１６日で残り１カ月となった。開業直後の観光客の来県見通しを把握しようと、福井県内の宿泊施設や大手旅行社に取材したところ、予約の出足に濃淡が見られた。能登半島地震の影響が続いている、との指摘もある。政府が３～４月の実施を念頭に置いている北陸に対する観光振興策「北陸応援割」のスタート時期などを気にする事業者は多い。

「２、３割増」「効果まだ」

　あわら温泉のグランディア芳泉の山口高澄常務によると、１５日現在の予約状況は昨年同日比で３月は１５０％、４月は５００％になっているという。「数字が伸びているのはありがたい」としながら「北陸全体に震災のイメージが残っている。福井の魅力を関東に伝えるＰＲや情報発信を続けなければならず、まだまだこれから」と慎重な姿勢だ。

　同温泉の旅館「べにや」は開業からゴールデンウイーク（ＧＷ）まで、週末の予約はほぼ満室。フロント担当の土橋悠人さんは「２、３割増しの感じ」と語る。

　福井市中心部の足羽川近くに立地するホテルリバージュアケボノは、３月１５、１６日の予約は好調だが、以後はふくい桜マラソン前日の３０日と当日３１日を除けば「新幹線効果で増えたというイメージはわかない」という。敦賀市の敦賀駅に隣接するホテルグランビナリオＴＳＵＲＵＧＡの担当者も「１６日当日は満室だが、その後のＧＷまでの予約状況に開業効果が顕著に出てきていない」と言う。

　観光客を送り込む側はどうなのか。ＪＲ東日本びゅうツーリズム＆セールス（東京都）は１月下旬に、団体を対象とした首都圏発の福井観光ツアーなど北陸周遊も含めた８コースの予約受け付けを始めた。エスコート商品部の寺岡由記子さん＝金沢市出身＝は「地震の影響で伸び悩むと思っていたが、そこそこの予約が入っている」と説明する。

　阪急交通社（東京都）は、昨年１２月に始めた首都圏発のコースの告知を地震発生を受けて見合わせたため、現状での申込者は少ない。１５日から新たに福井県を周遊する１コースの予約を開始し、これから順次、福井県への観光ツアーの販売を増やしていく方針。

　北陸応援割は、石川、新潟、富山、福井４県を対象に、１泊２万円を上限に旅行代金を割り引く仕組み。スタート時期はまだ確定していないが「明確な開業効果が表れるのは、北陸応援割が実施されてからではないか」（ホテルリバージュアケボノ）、「詳細がいつ明らかになるかをはっきりさせてほしい」（べにや）など期待する声が聞かれた。（松田士郎、金崎千花）