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社内に特権階級を作らないために ファミリービジネス後継ぎの心得 | ツギノジダイ - ツギノジダイ

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 組織改善を図りたいと考え、識学にお問い合わせいただくファミリービジネスの経営者の多くが、先代から後を継いだばかりの若い社長です。

 「先代の右腕だった人が言うことを聞いてくれない」、「先代の経営方針で事業はうまく継続できているけれども、本当にこのやり方でよいか分からない」といった悩みを抱えている方が多いです。創業者や引退を控えた経営者からのお問い合わせはまずありません。

 年配の経営者は、組織体制の強化を図るという発想を抱きにくいかもしれません。しかし、ファミリービジネスで代替わりしたばかりの新社長は、これから数十年にわたって会社を切り盛りしていかなければなりません。のどに骨が刺さった状態のままで生き残れる保証はどこにもない、という危機感があるのでしょう。

 組織改善を進める上で大切なことは、新社長が全権を握れるようにしておくことです。例えば、前社長が会長として社内に居座り、新社長の一挙手一投足に目を光らせ、事あるごとに口出ししてくるような状態では、組織改善などうまくいくはずがありません。

 筆者がこのような会社からコンサルティングのご依頼を受けた際は、「会長に一定期間口出しをしないという了解を得てください」と社長に要求します。それがかなわなければ、せっかくのご依頼でも辞退することがあります。

 ファミリービジネスだと、経営者交代のタイミングで新社長に軽々しい態度を取る社員が出てきやすいため、注意してください。特に役員が新社長の元上司である場合、「社長は自分の言うことは何でも聞く」と思いがちです。こうした役員にはどのように接すればいいのでしょうか。

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 後継ぎは、社長になったその日から敬語で話をさせて「社長」と呼ばせることが大切です。過去や年齢は関係ありません。新社長と自分たちとの間には絶対的な上下関係があることを認識させるのです。

 何も特別なことをする必要はなく、淡々と事実を伝えればよいのです。「私はこれまであなたたちの部下でしたが、これからは社長としてあなたたちを管理する立場になります。しかるべき態度で私に接してください」と。

 もちろん、役員の反発は考えられるでしょう。しかし、反発を受けたとしてもこれはやらなければいけないことです。ここで役員たちの不平不満に合わせているようでは、組織改革は失敗します。痛みなき改革などあり得ないのです。

 筆者はあるスポーツの日本代表チームの監督にマネジメントコンサルティングをしたことがあります。その監督が、自分より二回りも年上の経験豊富な先輩にコーチ就任の打診をしました。

 すると、その人は「お受けします」と言った瞬間から退任するときまでずっと敬語で監督に接したそうです。これこそが正しい位置関係です。もちろん、それまでの2人の関係は年齢差相応のものでした。

 過去に、製麺会社の30代の新社長からマネジメントコンサルティングの依頼を受けたことがあります。多くの会社にとって参考になる事例だと思い、ご紹介します。

 その社長は先代の息子で、先代の側近だった専務や常務ら役員たちとの関係に悩んでいました。

 彼らは新社長に対し、言葉遣いこそ丁寧だけれども「社長、言っていることは分かりますけどね、社長のやり方では駄目ですよ」といった調子で、社長の考えを部下にそのまま伝えず、勝手な指示を飛ばしてしまっていたのです。

 そこで、社長は役員を無視して部下に直接指示を出していました。

 上司が直下の部下を通り越し、「部下の部下」に直接指示を出す「一個飛ばし」は本来得策ではありません。それは次のようなデメリットがあるからです。

  1. 直下の部下の存在意義がなくなる
  2. 上司の業務が増え過ぎる
  3. 誰の指示に従えばよいか現場の社員が迷ってしまう

 今回のケースでは、実際に現場から「社長と役員の指示が違っているためどちらの言う通りにしたらよいか分からない」という声が上がり、社長と役員たちとの関係もぎくしゃくし始めていました。

 とはいえ、役員に指示を出すと自分の思っている通りには現場が動いてくれません。依頼を受けたのはそんなタイミングでした。

 こういうときは、社長が現場に直接指示を出した方がよいことが多いです。役員をマネジメントラインから外すわけですが、「一個飛ばし」にならないようにしました。

 役員たちは長年会社に貢献してくれた功労者には違いありません。突然蚊帳の外に置いてしまえば彼らのプライドが傷つき、社内に不協和音が発生する恐れがあります。

 役員には直下の部下を持たせるのではなく、社内コンサルタントのような立場から助言をしてもらうように配慮しました。

 社長からは現場のマネジャーに次のように話してもらいました。

 「あなたたちは社長である私の指示を実行してください。上司は私です。とはいえ、専務や常務は知見を持っているので、私の指示を実行するために必要なアドバイスを求める目的なら、専務や常務に相談してもいいです」

 部下とのやりとりは社長が直接するけれども、役員たちには社内のしかるべき立場から組織全体の底上げを図ってもらおうとしたのです。こうすることで、当初社長が抱えていた課題を解決することができました。

 今まで述べてきた組織のルールは、後継ぎが社長になる前の部下の立場でも同じことです。

 これから会社のかじ取りを担う予定の後継ぎのなかに、「俺は次の社長だぞ」などと偉そうにふんぞり返っている人はいませんか。

 次期社長を(部下として)マネジメントする立場になった中間管理職に、「次期社長だから厳しく指導できない」、あるいは「ルール違反をしても目をつぶろう」などと思わせているようではいけません。次期社長だろうが、他の社員と同じように扱われるべきです。

 社内に特権階級のようなものが生まれると、会社のルールが機能しなくなります。「なぜあの人はルール違反をしても許されるのですか」という不満が社内に生まれるのは当然ですし、社員がやる気をなくして競争が起きにくくなります。優秀な社員から順に退職してしまうでしょう。

 私は、ファミリービジネスであろうがなかろうが、コンサルティングを担当することになった企業には早い段階で組織図を見せてもらいます。

 ファミリービジネスだと、「この課長は社長と同じ名字ですが、家族ですか。昨日今日入ったばかりということですが、どうして課長に就いているのですか」といった話が出ることもあります。

 創業者一族の社員が特別扱いをされているのであれば、是正してもらうようにしています。

山下智史さん

株式会社識学 営業本部長/上席コンサルタント

早稲田大学法学部卒業後、新卒で読売新聞東京本社に入社。入社後は販売局に在籍し、販売店の経営者に対してマネジメント業務を行う。同社で12年ほど経験を積んだ後、識学に入社し、講師としてのキャリアをスタート。入社したその月のうちに営業受注最短記録を樹立し、目標達成率1000%をたたき出した。

(※構成・平沢元嗣)

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December 11, 2022 at 12:00PM
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