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分厚く高価な「鈍器」ビジネス書が増殖中 コロナ禍の在宅増、先行き不安が影響 - 産経ニュース

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辞典のようなボリューム感。「独学大全」(中央)をはじめ、分厚く高価格なビジネス書のヒットが相次いでいる
辞典のようなボリューム感。「独学大全」(中央)をはじめ、分厚く高価格なビジネス書のヒットが相次いでいる

 最少の労力で読者に最大の効果を-。そんな常識もあったビジネス書の世界に異変が起きている。「紙離れ」が進むデジタル時代に逆行するような分厚くて高価格な書籍のヒットが相次ぎ、その重量感にちなむ「鈍器本」なる呼び名も生まれた。背景には会社員の在宅時間の増加と先行きへの不安をもたらした新型コロナウイルス禍の影響も見え隠れする。

 「みなさん見た目のボリュームに驚かれますが、男性読者を中心に好評で1日に20冊以上売れることもある」。ジュンク堂書店池袋本店の書店員、安斎千華子さんがそう語るのは、昨年9月に発売された『独学大全』(ダイヤモンド社)だ。全788ページで厚さは約5センチ。価格も3080円と安くはないが、10刷17万部のベストセラーとなっている。

 人気ブロガーの読書猿さんが書いた、ジャンルを問わない独学の百科事典。目標の立て方に始まり、時間の作り方、ネットや図書館の活用法などを紹介する。とかく挫折しがちな独学を続けるために必要なことが網羅された一冊だ。

 「大部なので持ち運び用に電子版も併せて購入する方もいる。机上の一冊となる紙版は、その分厚さからSNS上で“鈍器”版と呼ばれています」と担当編集者の田中怜子さん。分量を250ページほどに抑え、価格は1500円程度に-というビジネス書編集の“常識”に照らして分量を減らすことも当初は考えたというが、結果的に密度の濃さをそのまま生かした。

 田中さんは「ネット上で手軽にさまざまな情報を得られる今、本の衝動買いは減っている。従来の編集セオリーからは外れているけれど、売れ行きを見て、この内容と分厚さにこそ意味があると感じた」と話す。

 ダイヤモンド社では、昨年12月刊行の832ページで3190円の『世界標準の経営理論』(入山章栄著)も8万5000部を発行するなど、“重厚長大”な本のヒットが相次ぐ。

 経済から哲学、歴史、科学まで、ビジネスリーダーに向けて名著200冊を紹介する『読書大全』(堀内勉著、日経BP)も488ページで3080円という大部の一冊。ところが、4月の発売から1カ月もたたずに4刷2万部に。担当編集者の宮本沙織さんは「文字数は一般的なビジネス書の5倍に近く、内容も決して易しくはない。短時間で読めるものから文字が詰まった読み応えのある本へと読書のトレンドは変わってきたのではないか」と話す。

 出版科学研究所によると、昨年の書籍(紙)の推定販売金額は前年比0・9%減の6661億円。在宅時間が増えたコロナ禍の中で読書の需要が高まったことも奏功し、マイナス幅は令和元年の3・8%減から大きく改善した。会社員のテレワークの広がりを受けて、ビジネス書は前年を上回る売れ行きだった。

 近年、人文書では、紙版が上下巻で4000円を超える『サピエンス全史』をはじめ重厚な本のベストセラーが目立っていた。「社会人の間で広がっていた『学び直し』の潮流が在宅時間が増えたコロナ禍によってより一層強まった」と同研究所の久保雅暖研究員は指摘する。

 「働き方も大きく変わり、先行きへの不安も増している。スキルアップを目指して、分厚く高価格でも根源的な内容を含んだ大部の一冊を求める傾向は顕著になっている」  (文化部 海老沢類)

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May 01, 2021 at 04:00AM
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