【出世ナビ】仕事で差がつく!ビジネス思考法
ある会社が苦境に立たされています。今期も大赤字が必至で、なんらかの手を打たないと会社が持ちません。そこで、実務担当者レベルで経費削減について議論することになりました。 【図解でわかる】トレードオン思考とトレードオフ思考はどう違う?
会議の冒頭、営業部(Aさん)の出張費について、経理部(Bさん)から厳しい指摘がありました。「業績悪化にもかかわらず、出張費が増えているのは論外」「需要そのものが落ち込んでいるのに経費をかけても仕方がない」「前年比で半減しろ」というのです。 そう言われて黙って見過ごすわけにはいきません。2人のやりとりを少し見てみましょう。■営業部と経理部の熱きバトル
A:それはまったく逆。こういう時期だからこそ、足を使って少しでも受注をとってこないと。それとも、経理部は、売り上げ目標が達成できなくてもいいというのか。 B:誰もそんなことは言っていませんよ。売り上げは売り上げで頑張ってもらわないと。 A:だったら、出張費は1円も削れないね。オンラインだけで、どうやって受注をとれというんだ。精神論だけで数字が上がれば誰も苦労しないよ。 B:そうじゃなくて、他のやり方ができないんですか。足がダメなら頭を使ってほしいんです。 A:そんなことを言うなら、一度営業をやってみたらどうですか。ご自慢の頭を使ってね。 B:それはこっちのせりふ。あなたこそ一度会社の財布を預かってみればいいんだ。こんな状況で、経費をカットする以外にどんな手があるというんですか。 A:そこまで言うなら、自分の給料でもカットしたらどうだ。君とは話にならん。今日は帰らせてもらう!
■ウィンウィンの解決策を導く
この手の議論を「ゼロサムゲーム」と呼びます。片方が得た分だけもう片方は失う「トレードオフ」(二律背反)の関係で解決策を探ることです。 こうなると、営業部が折れて出張費50%削減を認めるか、経理部が折れて出張費のカットを撤回するか。あるいは、出張費の削減を25%にして痛み分けにするしかありません。 形の上では、それで決着するかもしれませんが、勝ち負けをつけてしまうと、負けたほうに恨みが残ります。痛み分けをしても、得た分より失った分が気にかかり、同じ話になります。おそらく、両部門のリターンマッチが別のテーマで繰り広げられることでしょう。 こんなときこそ、両方とも得をする「トレードオン思考」の出番です。両者ともに勝ちになるウィンウィンの解決策を目指すのです。 たとえば、出張費を50%削減するかわりに、経理部をはじめ全社から人的な支援を営業部に対して行うのはどうでしょうか。出張費のカットを撤回するかわりに、売り上げ目標をさらに上積みする、という手も考えられます。 あるいは、こういうのはどうでしょうか。全社員等しく給料をカットして必要な営業費用を捻出する。管理部門と営業部門が一丸となって、起死回生の新規商品の開発を進める。まさにゼロサムをプラスサムに転換する作戦です。トレードオン思考を使えば、創造的に問題解決をすることができるのです。
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January 23, 2021 at 07:10AM
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