地図を手にした制服姿の中高生を、まちなかで見かける機会が多い時季になりました。5、6月は春の修学旅行シーズンです。新型コロナウイルスの影響で一時は激減したものの、2022年度は、道外から道内への修学旅行生数はコロナ前を上回る水準へとV字回復を果たしました。観光業界にとって喜ばしい話題かと思いきや、関係者の表情はちょっと複雑です。どういうことなのでしょうか。理由を取材しました。（経済部 工藤雄高）
修学旅行生で混雑する函館山展望台。帰りの函館山ロープウェイは数百人が列をつくる時間帯も
「めっちゃきれい」「やば」「テンション上がりすぎて、足つりそう」「これは100万ドルだわ」
5月中旬の午後7時すぎ、函館市のきらびやかな夜景を見下ろす函館山展望台。国内外の観光客に交じって、修学旅行生たちが歓声を上げていました。この時は生徒だけで500人以上おり、旭川や札幌など道内の学校だけではなさそうです。どんな地域からやって来て、どこへ向かうのでしょうか。
■旅費高騰でハワイから切り替え
東京都武蔵野市の高等専修学校では、以前は米国ハワイへ行っていましたが、旅費高騰で2018年に行き先を北海道に切り替えました。今年は新幹線で函館まで来て、バスで胆振管内洞爺湖町や札幌市などを3泊4日で回り、新千歳空港から飛行機で帰る旅程です。宮城県亘理町の亘理中学校は、姉妹都市である伊達市の中学校との交流もスケジュールに組み込んでいました。いくつかの学校に話を聞いたところ、カヌーを体験できる大沼国定公園（渡島管内七飯町）、ルスツリゾート（後志管内留寿都村）、札幌オリンピックミュージアムなどが定番スポットのようでした。
函館山展望台から見える夜景。観光客や修学旅行生らが記念写真をパチリ
とはいえ、「生徒たちが求めているのは、学びよりも旅を楽しむ『修楽旅行』。どこに行きたいかと聞くと、ディズニーランドという意見が一番多い」（東北地方の50代女性教員）。修学旅行でどこへ行くのがいいのか、先生たちの悩みは尽きないそうです。
新函館北斗駅に到着した修学旅行生を歓迎する自治体関係者ら
新函館北斗駅ではこの時季、新幹線で来道する修学旅行生を歓迎しようと、周辺自治体の関係者らが、北斗市のキャラクター「ずーしーほっきー」などと共に、駅で横断幕を持って出迎えます。「北海道へようこそ」と声をかけると、生徒たちは笑顔で手を振って応えます。さいたま市立八王子中学校3年の小林夏梨さんは「五稜郭タワーから星形を見てみたい。北海道の海鮮も楽しみ」と声を弾ませていました。
新函館北斗駅で出迎えたゆるキャラとハイタッチする修学旅行生たち
■コロナ前より3割増加「喜びきれない…」
北海道観光振興機構のまとめによると、最新データとなる2022年度は、道外の小中高などの修学旅行生は16万2千人。コロナの感染拡大で中止が相次いだ2020、2021年度は大きく落ち込んだものの、2022年度は急回復してコロナ禍前の2018年度より3割も増加しました。16万人を上回ったのは、2014年度以来のことです。
「それ自体は明るい話なのですが、理由を考えると喜びきれないと言うか…」。修学旅行の道内誘致に取り組む北海道観光振興機構プロモーション部の長野博樹担当部長は、悩ましげな表情を浮かべます。その理由とは「修学旅行ならではの商習慣」だと言います。...
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June 18, 2024 at 08:00AM
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北海道への修学旅行、V字回復の理由は カギは「2年のタイムラグ」＜工藤記者が読み解く＞：北海道新聞デジタル - 北海道新聞
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