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外国人観光客が意外な場所に殺到 混乱も富士吉田市・箱根町 旅行への影響は“次世代型オーバーツーリズム”にどう対応? - nhk.or.jp

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“新たなオーバーツーリズム”ともいえる事態が、日本各地で起きています。 

 観光スポットとしてはまったく無名だった場所に突然、外国人観光客が殺到しているのです。  

いったいなぜ?  

国内の旅行者からは、宿泊費の値上がりなどに戸惑いの声もあがっています。  

観光地でいま何が起きているのでしょうか。
 

▼「首都圏情報ネタドリ!」はNHKプラスで配信します▼   

(配信期間:5/31(金) 午後7:30~6/7(金) 午後7:57) 

地方のシャッター通りに観光客が殺到

山梨県富士吉田市にある商店街に、連日、大勢の外国人観光客が訪れています。

本町二丁目商店街会長 荒井理明さん
「海外から大勢の人が来ていただいて。我々のように商売している身としては、にぎわいはいいことだなと思いますね」

この商店街、もともとは観光スポットではなく、閉店する店が目立つシャッター通りでした。  

なぜ突然、外国人観光客が押し寄せるようになったのでしょうか。

お目当ては、この風景です。

地元の自治体によると、人気が出るきっかけとなったのは、この風景を撮影した写真がSNSに投稿されたことでした。

今も、世界中の人たちの間でシェアされ続けています。  

アメリカからの
観光客

富士山のような名所と、車が通り抜けるなど現代との組み合わせ。まさに現代の日本を完璧に体現しています。

中国からの
観光客

中国のSNSでは絶対訪れるべき場所と投稿されています。

ブルガリアからの
観光客

いろんな人がおすすめだと教えてくれました。

しかし、突然多くの人が訪れるようになり、地元の自治体は対応に追われています。

警備員

一番怖いのは、観光客が歩道からはみ出て車道から写真を撮るとき。Don’t run out(車道に出ないで)と言うことが多いですね。

こうした事態を受けて、市はことし3月に観光案内所を整備しました。

車が少ない別の通りや、ほかの絶景スポットを紹介するなど、観光客の分散を図ろうとしています。

富士吉田市富士山課観光担当 勝俣美香課長
「観光客を受け入れる体制を整備すれば、観光客の方がもっと満足いく町になっていくでしょうし、積極的に進めていきたいと市も動いています」

まったく無名の場所がSNSを通じて、突如観光地になってしまう新たな現象。

地元住民からの苦情が相次ぎ、厳しい対策を取らざるを得なくなった場所もあります。

山梨県富士河口湖町では、コンビニエンスストア越しの富士山を撮影しようと、1年ほど前から大勢の観光客が集うようになりました。

このコンビニの写真は、英語のハッシュタグまで作られ、世界中の人たちの間でシェアされています。

中国からの
観光客

山頂の雪、そしてこのコンビニの位置が絶妙です。

フランスからの
観光客

思い出に残る写真を撮ることが大事なんです。

しかし、ここは交通量の多い道路。事故につながりかねない行為が頻発してしまったのです。

さらに、狭い道に座り込んで食事をするなどの、マナー違反も相次ぎました。

近くの小学校によれば、観光客が多いところは避けて通学路を設定しているものの、どうしてもそこを通過しなければならない児童が、観光客から声をかけられる事例も発生しているといいます。

富士河口湖町は5月、コンビニ周辺の歩道に沿って、富士山を隠す黒い幕を設置しました。

町は「観光客などの安全と平穏な住民生活を確保するため、苦渋の決断でおこなった」としています。

ところが今、ほかのコンビニでも同じような状況が生じはじめています。

富士山のふもとではこうした人気スポットが、次々と出現しています。

住民

すてきな富士山を撮りたい気持ちもわかるんですよ。たくさん観光客が来ていることはすごくうれしいです。でもちょっと残念なのはマナーを守ってないということですね。

「こんなに高かった?」国内旅行者への影響も

国内の宿泊事情にも思わぬ影響が出ています。

20代女性は、「宿が高くて泊まれない」とSNSに投稿しました。

旅行が趣味で、半年に1度は全国の観光地を回ってきましたが、今年の夏休みはどうするか、悩んでいるといいます。

20代女性

ここは1泊11万円。14万のところも。こんなに高かったっけ?わたしは出せない、宿泊旅行はちょっと考えるかな。

現状、予算に収まる宿泊先が見つからず、日帰り旅行にすることも検討しているといいます。

実は、観光地の宿泊料金は、この1年で軒並み上昇しています。

何が価格の高騰を引き起こしているのでしょうか。

この1年で宿泊料金の平均価格が2割以上高騰した箱根。

5万円台を中心に22の部屋がある旅館では、この春、外国人の宿泊客は全体の8割に達したといいます。

イギリスからの
旅行者

イギリスを旅行するより日本ははるかに安いです。イギリスのホテル代は、日本の3倍から4倍します。

旅館では、人件費や食材費などの高騰をうけ、この1年で1万円ほど値上げしましたが、高い部屋から予約が入っていくといいます。

松坂屋本店 女将 牧野文江さん
「ここまで満室が毎日続くような状況になるとは考えていませんでした。ありがたいことです」

さらに、去年リニューアルした1泊40万円ほどの部屋に、外国人観光客から次々と予約が入っているという旅館も。

当初は2割ほどだった稼働率が今では7割に上るといいます。

金乃竹仙石原 支配人 北村絵里さん
「インバウンドのお客様は連泊する傾向があります。最上級のお部屋もご好評いただいています」

宿泊需要をもとに最適な市場価格を分析している会社によると、東京23区の宿泊料金は、去年1月は2名で4万7400円でしたが、今年5月には7万1600円まで上昇しています。

円安にも支えられた外国人観光客の旺盛なニーズが、宿泊費の上昇を後押ししていると見ています。

メトロエンジン 宇田川和久さん
「インバウンドで日本に来る方は、価格に寛容な方が多い傾向があるので、年間・曜日関係なく価格の差はなくなってきています。今後、しばらく宿泊施設の価格は上がってくると予想しています」

宿泊費上昇について、オーバーツーリズムなど観光政策について研究している高坂晶子さんは「光熱費や食材などが値上がりしているため、値上げには無理からぬ点が多い。収益を優秀な人材の獲得や設備投資に充てることができるので、値上げには積極的な意味もある」としつつ、次のように提言しています。

日本総合研究所調査部 主任研究員 高坂晶子さん
「これを機に長年懸案とされてきた『日本人の休み方』について、改めて考えてみるのも一案ではないでしょうか。

日本人の観光行動は繁忙期と閑散期が極端に分かれすぎています。お盆と正月と大型連休に皆が一気に休みますが、こうした時期は宿泊費や交通費も割高になるので避けた方が得策です。

仕事や学校があるためままならない場合も多いと思うので、企業などを巻き込んで休みを分散するような工夫が望ましいのではないかと考えています」

ツーリストシップの普及を目指して

多くの外国人観光客が日本を訪れる状況が続く中、旅行者と住民、その双方の幸せを目指す動きもあります。

外国人観光客でにぎわう京都・錦市場。都内在住の田中千恵子さんは、ここでクイズなどのイベントを開催しています。

田中さん

錦市場では食べ歩きを楽しむことができる。
〇か×か?

観光客

正解は×なんですね…

どうして?

混雑した市場内で食べながら歩くと、他のお客さんの衣装を汚すなどトラブルが起きてしまうことがあるので、食べ物は買ったお店の前や、お店の中で召し上がってください。

伝えているのはスポーツマンシップならぬツーリストシップ
旅先への配慮や貢献、そして交流を楽しむことなど、地元の人から好かれる旅行者になるための心構えです。

自らも旅行が趣味の田中さん。学生時代に、観光客を見る地元住民の複雑な感情を肌で感じたのが発案のきっかけでした。

一般社団法人ツーリストシップ 代表理事 田中千恵子さん
「お金が貯まったらすぐ、世界中に旅行に行くということを繰り返していたのですが、住んでいる人からするとウエルカムじゃないんだということを知り、衝撃を受けました」

田中さんは、京都に修学旅行で来た中学生たちに、ツーリストシップについて伝える講座も開きました。

「旅先には住んでいる人がいます。だからこそ旅先に対して配慮していく、貢献していくことが重要だと考えています」

講義のあと、中学生たちと向かったのは外国人観光客でにぎわう錦市場。
今度は中学生が観光客にクイズを出し、旅先のマナーを伝えました。

楽しい旅先でも自分とは異なる立場の人たちに意識を巡らすことで旅はよりよいものになる。田中さんはそう伝えました。

修学旅行生  
「今回の取り組みで学んだこともたくさんあったので、自分の住んでいるところでも意識していけたらなと思いました」

田中千恵子さん  
「一緒に住民も旅行者も働いている人も笑顔になっていくような旅行をみんなで築き上げるような世界を作っていきたいと思っています」

観光政策について研究している高坂晶子さんは、オーバーツーリズムが深刻になる前に、各地域で観光客が増加した場合の対応を考えておくことが大切だと話します。

日本総合研究所調査部 主任研究員 高坂晶子さん
「観光客の”受け入れ”をどうするか考えることは、地域の魅力を再発見することや、他と差別化できた独自の価値を見いだし地域の持続性を高めることにつながります。地域の人にとっても旅行者にとってもプラスです。

自分たちの街の何が大事で、何を守りたいのか。そのために、自分たちは何をする用意があるのか。

観光客には自分たちの街の何を楽しんでほしいのか。街を大切にするため、どのように振る舞ってほしいのか。そういった議論が住民の間で進むことを望んでいます」

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May 31, 2024 at 03:23PM
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