デル・テクノロジーズは女性起業家をグローバルに支援する取り組み「DWEN（Dell Women’s Entrepreneur Network）」を2009年に立ち上げた。日本でも確実にその輪を広げてきたが、今年はこれを大きく飛躍させるという。DWENの歴史や概要について聞いた前回のインタビューに続き、今回はこれから開催する「DWEN Dream Tech ビジネスコンテスト 2022」の概要や狙いなどを聞く。デル・テクノロジーズの横塚知子さんに日経BP総合研究所主席研究員の小林暢子がインタビューを行った。
起業家がアイデアを世に出す絶好の機会を
2か月後にファイナリスト10人を選出
小林 DWEN（デル女性起業家ネットワーク）では今年、日本で大きなビジネスコンテストを開催されると聞きました。どのようなイベントでしょうか。
横塚 女性起業家を対象としたビジネスのプランやアイデアのコンテスト「DWEN Dream Tech ビジネスコンテスト 2022」です。2022年9月1日から同10月21日の間に公式サイトからご応募いただき、11月にファイナリスト10人を選出します。その後、その方々に動画でビジネスプランを語っていただき、ユーザー投票を経て3人の入賞者を決定します。入賞者に選ばれた方には、副賞として1位に400万円相当、2位に200万円相当、3位に100万円相当、総額700万円相当のデル・テクノロジーズ製品を贈呈します。
デル・テクノロジーズ
コンシューマー＆ビジネス マーケティング統括本部 部長
横塚 知子氏
女性起業家が少ないと言われている日本でも、起業に関心のある女性は大勢います。DWENに登録すれば、誰もがこのコンテストに参加できます。その事実をより多くの方々に知っていただき、ぜひ参加していただきたいと考えています。
小林 DWENは昨年もEYジャパンとの協業でビジネスコンテストをされていましたね。
横塚 はい。昨年はEY ジャパンと協業で「DWEN x EY Support & Innovation Pitch」を開催しました。ビジネスエキスパートによるメンタリングを経てピッチイベントを実施し、最終的に3人の最優秀者を選出しています。
日経BP 総合研究所
主席研究員
小林 暢子
このコンテストは、起業家を目指す女性の名前やビジネスプランを世の中に露出する貴重な機会になったと同時に、投資家や他の起業家との出会いを促進する場にもなりました。実際、参加者から喜びの声もたくさんいただいています。そこで得られた経験とノウハウが今回のコンテストに生かされています。
小林 そのようなビジネスコンテストを、DWENとして大きく打ち出していく理由はどこにあるのでしょうか。
横塚 女性に限らず、起業家はたくさんの課題を抱えています。限られた資金とリソースの中でマーケティングやプロモーションを進め、市場や投資家の理解を得ていかなければなりません。ビジネスコンテストのような形で、起業家が自身の名前とビジネスプランを世の中に発信できる機会は決して多くないのです。
女性起業家を支援するDWENでは、そうした観点からビジネスコンテストを積極的に企画しています。日本以外の各国のDWENでも、こうしたコンテストはよく行われています。コンテストで入賞者になると、デル・テクノロジーズの広告に起用されるなど、起業家とデル・テクノロジーズがお互いに協力し合える良い循環も生まれ始めています。ぜひこの日本でも、そうした取り組みを実現していきたいと思います。
コンテストで未知なる出会いに遭遇
「起業家の孤独」からの解放へ
小林 いまはどのような起業でもITが必要になってきますから、入賞者の副賞として700万円相当のIT機器が提供されることはすばらしいと思います。しかし、仮に入賞できなかったとしても、このコンテストに参加することの意義はあるのでしょうか。
横塚 はい。そこが重要なポイントです。コンテストに参加すれば、どなたでも2つの大きなメリットが得られると考えています。
1つは、ご自身のアイデアをブラッシュアップできる良い機会になるということです。頭の中で温めてきたビジネスのアイデアやプランを、大勢が見ている場で発表すれば、投資家やユーザーから有益な意見や感想をもらうことができます。
コンテストですから、別に完璧なプランである必要はないのです。しかし、専門家やユーザーからの反応が得られることで、プランの強みと弱みがより鮮明になります。起業の夢を一歩現実に近づける機会として、ぜひこのコンテストを活用していただきたいと願っています。
もう1つは、ご自身と同じように起業を目指す方々と知り合えることです。起業家の悩みや課題には、起業家にしかわからないものがたくさんあります。特に起業家が少ないと言われる日本では、起業家はどうしても孤独になりがちです。コンテストやDWENネットワークへの参加は、起業を目指している他の方々と知り合える良い機会になります。心強い仲間を得ることにつながるでしょう。
小林 確かに、起業家が悩み、孤独になりがちなことはよく指摘されているところですね。
横塚 はい。私もベンチャー企業で働いた経験がありますので、スタートアップの大変さや経営者の孤独感はある程度知っています。起業には大きな可能性があってワクワクする面もありますが、強い精神力と体力が必要になります。特に女性の場合は、結婚や子育て、家事との両立など、女性ならではの人生の課題も抱えています。DWENに参加すれば、そうした悩みや課題に共感したり、相談したりできる相手を得る機会もあるでしょう。仲間ができることは、悩みや課題を解決する一助になると考えています。
デル・テクノロジーズ主催コンテストだから
起業家をIT施策の面からサポートできる
小林 聞けば聞くほど、確かにDWENは起業を目指す女性にとって参加する意義が大きいプロジェクトだと感じますね。起業を考えている方は、ぜひコンテストへの参加を前向きに検討するとよいと感じます。
あらゆるビジネスにITが欠かせない時代において、こうした取り組みをIT企業のデル・テクノロジーズが推進していることもポイントですね。総額700万円のIT機器は起業家にとって魅力的な副賞だと思いますが、とはいえ専門的なIT知識を持たない女性起業家は、必要なIT機器をどう想定すればよいのでしょうか。
横塚 心配はありません。当社のアドバイザーが受賞者のニーズを聞いて最適なIT環境を一緒に検討します。デル・テクノロジーズはPCだけでなく、サーバーや周辺機器を含む総合的なITソリューションカンパニーです。ビジネスのどこに課題があり、何を解決しなければならないかを分析しながら、最適なスペックと価格のITソリューションを提案していきます。
もちろんこれは入賞者に限定された話ではなく、当社のアドバイザーは起業家や事業家を広くサポートしていきます。
小林 ユニークな特徴がたくさん詰まったこのコンテストを通じて、DWENのグローバルな取り組みに注目が集まると思います。
横塚 はい。DWENの知名度や認知度を高めることは、私たちマーケティングチームの使命だと思っています。DWENには、女性起業家とデル・テクノロジーズが協力して社会課題を解決するという大きな目的があり、日本経済の将来にとっても明るく有意義な取り組みだと思っています。
小林 DWENによって多くの女性起業家が誕生するようになれば、日本の産業界にとって大きなプラスになるでしょう。この活動に期待したいと思います。本日はありがとうございました。
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September 15, 2022 at 06:25PM
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デル・テクノロジーズ コンシューマー＆ビジネス マーケティング統括本部 部長 横塚知子さんに聞く（後編）起業を目指す女性を広く支援するイベント「DWEN Dream Tech ビジネスコンテスト 2022」開催へ - Nikkei Business Publications
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