大型連休の後半にさしかかった2日、観光地は多くの人でにぎわった。外国人にメリットのある円安が進み、外国人観光客の取り込みに熱が上がる一方、海外旅行をあきらめた日本人の姿も。自治体や商店街は混雑対策にも追われている。(鈴木里奈、中村真暁、砂上麻子)
◆浅草では「6割くらいが外国人観光客」
東京・浅草の雷門前は、記念撮影する外国人観光客でごった返した。着物姿の外国人も見られ、撮影の順番を待つ人らもいた。
メキシコから来たルビッツァ・レニーさん(44)は「日本は遠いけど円安のおかげで来ることができた。メキシコよりすしが安いので、毎日食べたい」と意気込んだ。
仲見世を散策していたマジュドゥリン・ブーグリンさん(30)はパリから新婚旅行で来日。「日本は安全だし、円安でたくさん買い物ができる」と笑顔。夫のアレクシス・ラマリンガムさん(34)は「パリで良い物を食べるなら60ユーロ(約1万円)は必要だけど、ここは2人ですしが30ユーロだった」と喜んでいた。
仲見世の人形焼き店「木村家本店」では、外国人観光客向けに1年以上前から海外の決済アプリに対応。同店の武山裕也さん(47)は「コロナ前もこれくらいの人はいたが、6割くらいが外国人観光客になった」と話す。人力車を運営する「東京力車」は、外国人観光客による利用時間が延び、スタッフの語学研修の頻度を増やしたという。
◆新大久保では人気店前で順番待ち
「コリアンタウン」として知られる東京都新宿区の新大久保では、韓国関係の店舗が立ち並ぶ通りに若いカップルや家族連れ、外国人観光客らが集まった。人気店前で順番待ちをしたり、買った物を食べたりする人も。交差点では警備員が、通行人が車道にはみ出さないよう誘導していた。
3~5日には、区職員や商店街関係者らが地域を巡回し、西大久保公園などの飲食スペースの利用を呼びかける予定。混雑緩和を呼びかけるティッシュ配りも2日まで行った。
◆鎌倉を訪れた学生は「海外は高いので」
神奈川県のJR鎌倉駅前には、円安の影響で海外旅行を取りやめ、古都の風情を楽しむ人の姿があった。
東京都葛飾区の大学3年生の男性(20)は「海外は高いので鎌倉にした。彼女とカップルリングをつくりました」と笑顔。宮崎県から来た女性(65)も「思ったより人が多くて、連休と実感しました」と話す。これまでは韓国に行ったりしたが、今年は円安もあり横浜市内の娘と孫に会いにきたという。
鎌倉では、増え続ける観光客によって住民生活に影響が出る「オーバーツーリズム」が問題視される。国や鎌倉市などは3、4の両日、江ノ島電鉄鎌倉駅で、混雑する鎌倉駅―長谷駅間を歩いて移動するよう促す実証実験を行う予定だ。
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